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黒カビの正式名はクラドスポリウム!クロカビの正体をあばく!

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カビの種類(クロカビ)

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家の中のいたるところにクロカビはいます。見えないだけで空気中にも飛んでいます。

カビの種類は何万種類もありますが、その中でもクロカビは私たちがもっとも目にしているカビですよね

この記事では、そんなカビを代表するクロカビについて詳しく解説していきます

クロカビの正式名

「クロカビ」は正式名称ではありません。

他にも「クロカワカビ」などと呼ばれることもありますが、これも俗名です。

このようにカビは、その色や生えるものによって俗名をつけられることが多くあります

正式名称はクラドスポリウム

  • クラドスポリウム属(Cladosporium)

分類 菌界>子のう菌門>クロイボタケ網>カプノジウム目>クラドスポリウム科>クラドスポリウム属

正式名称はクラドスポリウムといいます。

どう考えても読みにくいですね。打ち間違いもしそうなので、この後も「クロカビ」と書かせていただきます。

カビトリくん

一般の方は正式名称を覚える必要はないと思います。

代表的なクロカビ

クロカビと呼ばれるクラドスポリウム属は170種以上います。

その中でも代表的なクロカビはこちらの2種類です。

  • クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)
  • クラドスポリウム・スフェロスパーマム(C.shaerospermum)

クロカビは周りの環境によって形を変化させます。それが原因で一時期は500種類以上に分けられていました。今はクロカビの形を変える性質がわかったことで、170種程度に整理されました。

クロカビがいる所

もともとは土壌に多くいます。そこから、空気中に飛ばされて建物の中に入ってきます。

空気中

クロカビは空気中に浮遊しています。

空気中のカビ数はその環境やライフスタイルによって大きく変わりますが、だいたい2~100個/㎥です。

そして空気中の主なカビは、クロカビとアオカビ(ペニシリウム)です。ただしそれ以外にも、空気中にはさまざまなカビがいます。

空気中にはクロカビの胞子が浮遊し、その大きさは4~8μmです。クロカビが1m落下する時間は約30分かかります。

ホコリの中

クロカビはホコリの中にもいます。ただし、ホコリの中は好乾性(湿度65%以上で成長できる性質)のカビが多いのが特徴です。

※クロカビは好湿性です。

世界では

クロカビは世界各地にいますが、その中でもアジア、ヨーロッパ、アメリカに広く分布しています。

クロカビが生える所

クロカビは空中に多く浮遊し、いろいろな物にくっついて成長していきます。

建物

建物の中、とくに湿っている所に生えます

例)浴室・トイレ・キッチン・エアコン内部など

湿っている場所は、空気の動きがなく湿気がこもりやすい場所や温度差によって結露が発生した場所、水を使う場所です。ただし、乾燥している場所でもクロカビは成長しないだけで生きていることに注意しましょう。

食べ物

野菜や果実、さまざまな食物に生えます。

例)トマト、きゅうり、かぼちゃ、菓子類、ジュース、穀物など

クロカビの性質

形状や色

クロカビの拡大写真
出典:山口環境保険センター

1本の木の様な形をしています。

顕微鏡で見たクロカビ

クロカビの拡大写真4
クロカビの拡大写真5
クロカビの拡大写真6

顕微鏡で見てみるとクロカビがどんな形をしているのかがよくわかります。

胞子の形

クラドスポリウム属胞子の形
C.クラドスポリオイデス楕円形 平滑
C.スフェロスパーマム球状 イボ状

クロカビの代表的な2種は、胞子の形状が微妙に違います。

カビトリくん

同じクロカビでも形は違うところがあるようですね。

コロニー

クロカビのコロニー

クロカビのコロニーです。

大きさ表面性状
2~5cmビロート状 平坦オリーブ色
オリーブ色
暗褐色
暗褐色

ビロート状とは、こまかい毛があり、なめらかでツヤのある状態です。たぶん。

菌糸と胞子

菌糸有隔壁褐色
褐色
胞子分生子 単細胞 出芽型明褐色
明褐色

クロカビの菌糸から胞子(分生子)を作る方法は出芽方式です。出芽によって作られた分生子から新しい分生子が生まれ、分生子が連続している形です。この時、分生子同士は兄弟ではなく、親子関係にあります。また、この連続している分生子はちょっとの衝撃で空中に飛んでいきます。クロカビが空中に多いのはこれが原因です。

カビは菌糸と胞子(と分生子柄)で成り立っています。そして、クロカビはその両方が黒ではありません。しかし、密集していたり、濡れていると黒っぽく見えるのです。

分生子柄

クロカビの拡大写真を見てもわかるように、枝分かれが少ない

環境

湿度

クロカビが生えやすい湿度は92%~100%くらいです。好湿性。

クラドスポリウム属最低水分活性
C.クラドスポリオイデス0.86
C.スフェロスパーマム0.82

温度

クロカビが成長できる温度は5~30℃です。一番生えやすい温度は25℃付近です。低温性~中温性。

pH

クロカビが成長できるpHは3~13です。一番生えやすいpHは4~6です。

クロカビにとって環境が合わない時

クロカビが成長できる環境では、菌糸→出芽で胞子をつくる→菌糸のライフスタイルです。

しかし、クロカビにとって栄養も水分も少ない環境では、菌糸→菌糸そのものが胞子に変化→菌糸にライフスタイルを変更します。

カビトリくん

クロカビの形を変えてまで生き残れたくましさがすごい!

培養

培地培養温度培養期間
PDA PCA20~30℃7日

クロカビが人に及ぼす影響

カビが人に及ぼす危険は以下の3つです。

  • カビの胞子を吸い込むことで起きるカビアレルギー
  • カビが人体の組織に取り付いて起きる真菌感染症
  • カビが作る毒性物質によって起きるカビ中毒(食中毒)

まず、クロカビはカビ毒を作りませんのでご安心ください。 ただし、クロカビを食べても大丈夫という意味ではありません。

クロカビのカビアレルギー

  • 気管支喘息
  • アレルギー性鼻炎
  • アトピー性皮膚炎
  • 過敏性肺炎

クロカビはアトピー型喘息の主要真菌アレルゲンです。

空気中のクロカビ(の胞子)を大量に吸い込むことでアレルギーを起こします。

ただ、大量とはどの程度なのか、どれくらいクロカビを吸い込むとアレルギーが起こるかはわかりません。

季節で大きく変わりますが、一般的な空気の中にカビ胞子は2~100個/㎥程度います。

これが1000/㎥になるとちょっと多いかなと思います。環境の目安としては以下の点に注意してください。

注意点
  1. 対象となる環境の空気が常に高汚染している
  2. 生活の場所として長時間過ごす場所が高汚染している
  3. 特定のカビが非常に多い
  4. 日和見感染するカビが多い
  5. 時間帯によって高汚染している
  6. ほこりが多く簡単に空気中に飛散する

アトピー型喘息を引き起こす原因アレルゲンの主な真菌は、クロカビ以外にもススカビ(アルタナリア)、コウジカビ(アスペルギルス)、アオカビ(ペニシリウム)、カンジダ(酵母)の4つがあげられます。

対策(予防)

クロカビが空気中に大量に発生しないようにしましょう。そのためにはクロカビが発生しない環境づくりが大切です。

クロカビが発生しやすい場所をこまめにお掃除する

お風呂や窓枠、キッチンなどをカビが目視でわかる前にこまめにお掃除しておきましょう。

お風呂の天井はとくに注意が必要です。お風呂場の天井ではカビが薄く広範囲に広がる傾向があります。そのため、目視でカビがわかる時には、すでに天井に大量のカビが繁殖している可能性が高いのです。一見キレイに見えても定期的に天井のお掃除をするようにしましょう。

クロカビが発生しないように湿度をコントロールする

クロカビは好湿性です。長時間の間、湿度が80%以上にならない環境にしましょう。

クロカビが発生している場合は除去する

目に見えてカビ(クロカビ)が発生している時は、アルコールや塩素系漂白剤などを使用して適切に取り除きましょう。

クロカビが大量に発生している場合、アルコールでは色素などを除去しきれない場合があります。大量に発生している時は、プロの業者に依頼するのもいいと思います。

自分でカビを除去する際は、必ずマスクをするようにしましょう。カビの胞子はちょっとの衝撃で空中に舞い上がります。知らず知らずのうちにカビの胞子を大量に吸い込む危険があります。

真菌感染症

  • 表在性 真菌症
  • 深部皮膚 真菌症
  • 深在性 真菌症

クロカビは基本的に感染症にはなりませんが、以下の1種類に危険性があります。

原因となるクロカビ感染症
クラドスポリウム・カリオニイ
C.carrionii
黒色真菌感染症
クロモミコーシス

日本では、クラドスポリウム・カリオニイによる黒色真菌感染症は報告されておりません。南米、アフリカ、中国で多く報告されています。

黒色真菌の人への感染は、日本で530例以上報告されています(2007年)。主な原因真菌はフォンセケア・ペドロソイなどです。クラドスポリウム・カリオニイとは違う真菌です。

クロカビが食べ物に及ぼす影響

カビの苦情

クロカビはカビ毒を作りませんし、カビが生えている食品を食べる人もなかなかいないと思います。 そのため、食品に対するカビの被害は「苦情」として報告されます

通常の食中毒とは違い、食品にカビが発生している場合、ほとんどの消費者がわかります。そのため、食品におけるカビ被害の評価はカビによる食中毒事件数ではなく、消費者からのカビ発生苦情件数が重要です。 食品のカビ被害とは「食品にカビが生える(カビ汚染)」こと

カビ苦情の件数

カビ苦情報告数

東京都内で発生した食品へのカビ苦情の件数です。都内だけでも毎年100件近くの苦情が報告されています。

カビ汚染の苦情が多い食品

平成27年度TOP3業界
1位(24件)農産食品
2位(16件)菓子類
3位(12件)飲料

クロカビの食品汚染

クロカビは空気中に多くいるため、さまざまな食品を汚染します。 ジュース類・ミネラルウォーター類・食パン・菓子パン・和菓子・洋菓子・食肉・魚肉練り製品・弁当・米加工品・チーズ・ゼリー・ジャム・はちみつを汚染します。

最後に

クロカビについて解説しました。

カビトリくん

クロカビは日常でよく目にするカビですが、調べてみるとたくさんのことを発見できるかもしれませんね。

カビの写真はすべて山口県環境保健センターのカビデータベースの写真を使用させていただきました。

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